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◆新型多剤耐性菌… 菌種超えて拡大の恐れ [新型多剤耐性菌]

 海外で広がっている、ほとんどの抗菌薬(抗生物質)が効かない新型の多剤耐性菌が今月、日本でも見つかっていたことが分かった。どんな菌なのだろうか? (館林牧子)

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 この細菌に抗菌薬が効かないのは、菌が作るNDM1という酵素が原因。名前の由来は、インドの首都ニュー(N)デリー(D)で見つかったメタロ(M)βラクタマーゼという酵素、の頭文字だ。

 2008年、スウェーデン在住のインド人男性から初めて発見され、欧米やオーストラリアなどでも見つかった。国内では今月、独協医大(栃木県)の入院患者から検出されていたことが分かった。日本人の例も含め、感染者の多くはインドやパキスタンからの帰国者だ。

 帝京大などで院内感染が起きた多剤耐性のアシネトバクター菌は、重い病気などで免疫力の落ちた人にしか感染しない。これに対してNDM1を作る細菌は、健康な人にも感染する大腸菌などで、世界的にはこの耐性菌の方が問題視されている。

 さらに、このメタロβラクタマーゼという酵素がやっかいなのは、最も広く使われている「βラクタム系」と呼ばれる抗菌薬を効かなくさせることだ。ペニシリンや、現時点で最強の抗菌薬「カルバペネム」もこの系列の薬だ。

 
 NDM1を作る遺伝子は、細菌の中にあるプラスミドというDNAの中にある。プラスミドを持つ細菌は、線毛という細い管を出して別の細菌にくっつき、プラスミドを移す性質がある。このやりとりは細菌の種類を超えて行われるので、様々な種類の細菌に耐性が広がる恐れがある。

 今のところ、NDM1を作るのは、大腸菌や肺炎桿菌など健康な人の腸内にいる細菌で、通常は何の症状も出ない。尿道に入ると尿路感染症を起こすことがあるが、健康な人なら多くは自然に治る。肺炎桿菌は肺に入ると肺炎を起こすこともあるが、健康な人ならそれもまれだ。

 ただ、尿路感染や肺炎が重症化したり、まれに血液中に入って全身を巡って敗血症を起こしたりすると、薬が効かないため治療が難しくなる。

 これまで報告された感染者のうち、死亡したのはパキスタンで交通事故に遭ったベルギー人男性1人。
他の患者は回復した。東邦大微生物・感染症学助教の石井良和さんは「耐性菌の監視は注意深く続けなければならないが、細菌自体の病原性が強くなったわけではなく、現時点で一般の人が過敏になる必要はない」と話す。

 とはいえ、油断は禁物だ。同じような仕組みでメタロβラクタマーゼを他の菌に広げる耐性菌は、NDM1以外にもすでに6種類見つかっており、最初は日本で見つかった。緑膿菌など健康な人には感染しない細菌だったため、注目を集めなかったに過ぎない。

 昭和大臨床感染症学教授の二木芳人さんは「新たな耐性菌は世界中どこでも生まれる可能性がある。菌の検査をして必要な時だけ抗菌薬を使うなど、耐性菌を作りにくい使い方を徹底させなければならない」と警鐘を鳴らしている。

 【プラスミド】 細菌や酵母の細胞内にあるDNA。自分自身の細胞を複製するのに必要な遺伝情報がある染色体とは、別に存在する。

(読売・医療大全記事より)

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