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◆弓部大動脈瘤 手術後声が出にくい [動脈瘤]

Q.大動脈瘤が原因で声帯が延びて声が出にくい? 対処法は

 数年前、弓部大動脈瘤が見つかり、人工血管を入れる手術を受けました。手術は無事、終わったのですが、声が出にくくなりました。医師からは、「手術の失敗ではなく、大動脈瘤が大きくなったことにより、声帯が延びてしまい、手術後も、元に戻らなかったことが原因」と言われました。このようなことはあるのでしょうか。また、元に戻す方法はあるのでしょうか。(74歳男性)


A.反回神経麻痺の障害が原因か 治療は困難―南淵明宏 大和成和病院院長(神奈川県大和市) 

 声が出にくいのは反回神経(はんかいしんけい)麻痺によるもので、嗄(さ)声だと思います。
 のどの奥に声帯という出っ張りが左右から突き出ていて、これが振動して我々は声を出すことができます。この梁(はり)はさらにせり出して気道を微妙に閉じたり開いたりすることができるので、声の高さを調節する機能も持っています。この動きを調整しているのが反回神経と呼ばれる神経です。

 なぜ「反回」などという名前が付いているかというと、弓部大動脈を回り込んで反回神経が走っているからです。

 脳からの信号がいったん弓部大動脈まで降りてきて、また上に上がって喉に達するというもので、遠回りして、道草食って指令が伝わっているのです。

 どうしてこんなことになっているのかは人間を造った神様、またはプロメテウス様、あるいはブラフマン、あるいは大日如来様にお聞きください。

 さて、弓部大動脈瘤の患者さんでは病変部分のど真ん中を反回神経が走っているということになります。こうなると反回神経は瘤の拡大によって麻痺する、つまり手術の前に既に麻痺してしまうっていることもしばしばあります。

 手術の前はしっかり機能していた、つまり声は何ともなかったのに、手術の際に損傷してしまうこともあります。どんなに上手な心臓外科医でも、反回神経を絶対に損傷することなく弓部大動脈瘤を人工血管で置換する手術を行うことはできません。

 弓部大動脈瘤の手術はとんでもなく大規模な手術です。手術で患者さんをあの世に送ってしまいかねない、危険性の高いものです。命は助かっても手術中に脳梗塞が起こって永久に眼が覚めなくなる事態も起こりえます。

 ですから心臓外科医は手術中、「まず手術をしっかり終わらせること」「人工血管をしっかりと縫いつけ、血が漏れないようにすること」「脳の血流に動脈硬化の塊が流れていって脳梗塞にならないように注意すること」、「できるだけ早く手術を終えること」などで頭がいっぱいです。それに経験豊富な心臓外科医でも手術中、反回神経がどこにあるのか、同定できないこともしばしばあります。従って、弓部大動脈瘤の手術で反回神経麻痺になったとしても、心臓外科医にその責任を負わせるなどという考えは間違っています。

 さて、ではどのようにして反回神経は麻痺してしまったのか、手術中に知らないではさみでチョキンと切断してしまったのか、あるいは見た目はしっかり温存されているのにまわりが腫れたりして引っ張られて機能停止しているのか(命令伝達信号が伝わらなくなっているのか)、両方の可能性があります。

 手術後しばらくして完治する人もいますが、ご相談者様は数年前に手術を受けられたということですからたぶん回復することは難しいと思われます。カラオケのレパートリーは限られてしまうのでしょうが、以前とは違う声、というのも、大手術を乗り切った生命力と名医に巡り合わせてくれた運命を神様が与えてくれたもの、とお考え頂くことはできないものでしょうか。私をはじめとした、世界中の心臓外科医のお願いです。

(読売・医療相談室記事より)
◇これについては、コメントの余地がありません。さらにエキスパートのドクターならどうか分かりませんが。・・

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